4カ町商工会青年部合同研究事業

市町村合併がもたらす地域の行方


日時:平成14年(2002)10月17日(木)午後7時〜9時
場所:ウェディング石川(深江町) 


市町村合併問題をやさしく解説する
若手よ!立ち上がれ!新たな市誕生への挑戦!
講師:板倉 勇 氏(69)
市場調査の専門家
  全国のまちづくりにかかわる調査研究35年のベテラン

保谷市と田無市が合併してできた西東京市に自宅があり
  合併の委員会にも属し、現実に合併を経験した方

3年前に大病をわずらいながらも、お元気になられたそうで
まちづくり(合併)に関する実体験をふまえ
総務省の客観的なデータを元に、
どう対処するかの心構えをわかりやすく説明されました。
主催
4カ町商工会青年部
(西有家町、有家町、布津町、深江町)
スケジュール
   ・司  会:布津町商工会青年部  島崎さん
   ・あいさつ:西有家町商工会青年部 高橋さん
   ・あいさつ:布津町商工会副会長  村上さん
   
   ・講  演:約2時間
   ・質疑応答:約30分

   ・あいさつ:深江町商工会青年部  下田さん
【基礎データ】
島原地域一市五町合併協議会 (H14.7.1設置)
(島原市・有明町・有家町・西有家町・布津町・深江町)
(人口82,696人、面積169km2)
(合併協議会3回開催。)

有明町 11958人
島原市 39605人
深江町 8149人
布津町 5019人
有家町 9209人
西有家町8756人

合計82696人
講演内容
現在の国(小泉さん)の考え
・現在の日本国の借金700兆円!→地方交付税を減らしたい
・現在の全国の自治体=3700自治体→1000自治体まで減らしたい
・47都道府県→11道州制へ移行していきたい(江戸時代の藩体制)
国がとった具体的な政策
・全国の自治体の合併を促進するため
 2005年3月をタイムリミットとして「合併特例法」を設置
2005年4月以降の国の方針
合併した自治体
地方交付税は現在のまま10年間のみ、10年後から引き下げられていく!
・合併特例債など財政補助10年間のみ、10年後はない!
 例)1市5町の場合:約450億円の特別補助
    内訳)
      ・合併後のまちづくりの為の「建設事業」に対する財政措置
         標準全体事業費  408.3億円
      ・合併後の振興の為の「基金造成」に対する財政措置
         標準基金規模の上限 39.6億円
      ・合併直後の「臨時的経費」にかかる財政措置
                        10.3億円
*合併すると10年間はたいへん手厚い助成が受けられる。
  しかし、10年後からは助成がなくなるので、
  合併する時、10年後15年後を予想して計画することが大事!
合併しなかった自治体
地方交付税を引き下げる(2007年度より?)
   例)1市5町の場合:約5千万円ずつ減少させていく
     2015年ごろには財政破綻で町がつぶれる可能性大!
     村になって近くの自治体に吸収される。
*自主財源のある自治体は、合併しないという選択肢も取れるが、
  自主財源がなく地方交付税などに頼っている自治体は、
  合併という手段しか生き残ることができない! 
現在の各自治体の歳入に対する地方税の割合
自己資金比率(自主財源)データ
   島原市  19.0%
   深江町  12.7%
   布津町   8.8%
   有家町  13.9%
   西有家町 12.2%
   有明町  

足りない分は「国からの交付税」と「借金」(4:6)
また
現在、各町それぞれ70億円前後の借金がある。
ちなみに
   長崎市  25.7%
   諫早市  28.0%
   大村市  27.0%
   佐世保市 27.5%
   松浦市  33.9%
   香焼町  44.0%
   長与町  35.8%

 長崎県平均 14.0% (全国44位/47都道府県)
 全国の平均 22.1%

議員数について
具体例)
 1市5町の場合
    現在の議員合計数97名→合併後2年間はそのまま
    合併2年後に選挙:97名→30名(特例で36名の可能性も有)

 ちなみに
    町会議員の年収 現在:約370万円→合併後の2年間:598万円
合併後の人口について
現在の1市5町の合併では、合併後の人口が82696人

実は10万人を境に、成功失敗が分かれるという可能性が高い
もっと人口が増えるような合併を目指すほうが望ましい!
(国の助成は基本的に人口を元に計算される為)
一般的に言われている「合併のデメリット意見」に対して、
実際合併した「西東京市の場合」は?
・役所が遠くなる?          
  →合併後の市役所が遠くなるのは物理的に仕方がない
   しかし、既存の役所を、
   支所としての機能を持たせれば問題ない!

・中心地のみ繁栄し、遠くはさびれる?
  →特にそういうことはない!

・住民意見が届きにくくなる?
  →特にそういうことはない!
   逆に市民の参加意識が高まって良くなっている。

・細かい行政サービスが受けれなくなる?
  →特にそういうことはない!
   逆に老人に対する扱いがよくなった。
合併について
合併したほうが良いのは、決まっているし、当然です!(あくまでも予算上)
良いか?悪いか?ではない!
「合併から15年後のことをみこして計画すること」が大事!

大きな箱物をつくるだけでは、
その後の運営経費がかかり、10年後からは財政をひっ迫させる原因になりかねない。
たんなる箱物を作るのではなく、
「お金を生み出すような施設」「経済活動が伴う施設」をつくる必要がある!

現在の自治体の首長や議員さんのみに議論を任せていいのですか?
財政が急に厳しくなる15年後には、現在のリーダーたちは引退していますヨ!

結局、現在の30代40代の人間が尻拭いすることになるので
現在の合併会議に、地元の若者は積極的に参加しなさい!

若い者が自覚し行動する合併は必ず成功します!
質疑応答
Q:10年間は国の助成を受けられるというが、国自体は大丈夫か?
A:国が大丈夫かはわからない(笑)

Q:合併後の特別補助450億円を、借金の返済に充てられないか?
A:できないだろう。
  「建設事業」や「基金造成」など使い道は指定されている。

Q:合併の方式は「対等合併」or「吸収合併」?
A:今回の1市5町の場合は、新設合併なので「対等合併」でしょう。

Q:南有馬町で現在2町での合併を進めているが、住民の総意ではない。
  住民主導で進めたいのでアドバイスを!
A:細かいところはわからないが、
  当然、国・県の立場では、大きな合併を進めたいので
  まずは県の窓口に相談してみたほうが良いでしょう。
参加した私個人の感想
主観的な精神論の話ではなく、
客観的な数字を元に話が進められ、たいへんわかりやすかった。

何事をするにも現実的にお金が必要
自主財源をもたない自治体は
合併しないと生き残れないという現実を突きつけられた!

また、10年後15年後にも責任をもてる合併にする為には
私たち青年が中心となる合併議論をすべきだと強く感じた。


こういう貴重な勉強の機会をつくっていただいた
4カ町の商工会青年部の方々には感謝申し上げたいと思いました。
ありがとうございました。
参考
総務省合併相談コーナー
http://www.soumu.go.jp/gapei/index.html

長崎県市町村合併推進室
http://www1.pref.nagasaki.jp/gappei/index.html

文責:石川俊男
話を聞きながらメモを取り、後日まとめましたので
細かいところでの記述ミスがあるかもしれません。^^
何かご意見がありましたらこちらまで。
mizu929@alto.ocn.ne.jp