長崎新聞

11月16日(土) 8面


コラム「うず潮」

島原半島は一つ


日本全国「合併」の話が進んでいる。


一町では維持できない
消防救急体制・ゴミ処理・大型施設なども
複数の市町村がまとまれば低コストで運営できる。

交通も通信も整備され、
地域差も少なくなっているから合理化できることがたくさんある。

議会・行政の重複部分だけでも
随分節約され住民サービスが充実するだろう。


それでも全く風土も産業形態も違う地域同士が
一緒になるわけにはいかないのだから、
何が何でも合併ではなく、
地域の事情で考えていいのではないか。


では、私たちの住む島原半島はどうか。

雲仙を中心に放射状に海に広がる地域風土を考えても、
農業を土台として山海の恵みに成り立つ観光など産業を考えても、
歴史文化を考えても、
あの噴火災害に耐え、助け合ってきた経験を考えても、
そして
その総合力が大きな魅力になっている島原半島は
まさに全国の合併のモデルと言っていい。


誰に聞いても「島原半島は一つ」という返事が返ってくる。

ところがそのあとに
「一本化がベストだけど現実は…」などと
釈然としない説明が並んで、
このままでは
三〜四分割の合併案に落ち着いてしまいそうな勢いだ。


考えてみたら、このたびの合併論議は、
首長・議員にも、事務方の役人にも荷が重すぎるのである。

自分たちの進退に関わる要素などもからみ、
選ばれている自分がやらねばと言う
自負の強い首長・議員ほど、
率先して議席を削る
という矛盾を抱え込むことになる。


もともと首長や議員には、
役割分担(間接民主制)として、
私たちの政治をお任せしているわけだけれども、
これでは
ミス島原半島の審査を、
応募者のお父さんにお願いするようなもの
だ。

そんな酷なことはやめて、
「今回は自分たちで考えます」
私たち住民が
立ち上がらなければならない
のではないか。


先般、島原半島の若い人たちが開催した
「島原半島の未来を考えるフォーラム」を聴講して、
あらためて、「島原半島は一つ」の感を強くした。

住民の、住民による、住民のための島原半島合併!

松坂昌應(まつさかまさおう)  
島原/森岳商店街事務局