200212.19.(木)長崎新聞21面
記者の目 口加支局 坂本文生
住民とともに練り上げよ

規模の大小をめぐって自治体合併協議が難航している島原半島南部で、
合併問題をテーマにした懇談会や講演会、勉強会などが相次いでいる。

いずれも自治体主催でなく、別々の住民組織が
「考える場」として開催しているのが心強い。

首長に出席を求めて「住民主体の合併論議になっていない」とただす場面もあれば、
専門家らを招いて財政面などから考える機会もあった。

講師となった県担当職員の資料を手にして
「町はどうして、町民が必要とするこんな資料を出さないのか」と嘆く住民もいた。

会を催し、または参加した住民サイドでは、
合併協議会が進まないいらだちはもとより、判断材料となる情報の不足
不十分な合意形成に不満を抱いている。

さらに危惧するのは、地域の将来が見えてこないこと。

どんな地域をつくろうとするのか、それを実現させるために
産業振興やまちづくりなどの施策をどう進めるのか−を、
住民とともに練り上げた自治体がどれくらいあるだろう。

地方自治の強化策が、合併頼みでは心もとない。
地域の行方を方向付けるのは合併を決める前にこそ必要で、
そうした取り組みこそが地方自治の足腰を鍛えるはずだ。