ゴミ問題の常識。

長崎新聞のコラム「うず潮」2000.8.(第3回)


タバコの吸い口がフィルター付きになってからは、
吸い殻は捨てないのが常識になっています。

フィルターの素材は土に帰らないからであります。
そしてさりげなく携帯用の灰皿を使うのがカッコイイのであります。

かつてタバコの吸い殻は、
火の始末が大事で、きちんと消すことが常識とされていました。
(このことは捨てないことと相反する事ではないのですが)

火事さえ出さなければ捨ててもかまわないと
思い違いしている自称常識派の不心得者も多いようです。

おかげで、「タバコは吸わないのが常識」とまで言われるようになり、
愛煙家はますます居場所がありません。

   * * *

ゴミ拾いボランティアに参加した子どもたちの作文をみる機会がありました。
子どもたちは氾濫するゴミの多さに閉口しながらも、
自分は捨てない、街がきれいになると気持ちがいい、ゴミを拾う、とまで書いてありました。

行政によると、「ゴミは持ち帰ってもらう」のが基本ということで、
原則として公共地にゴミ箱は置かない方針とのこと。

私たちは、一斗(十八g)缶に着色して城下町風情のゴミ箱を製作して、街角に配置しました。
森岳商店街を訪れた人たちが手に余ったゴミから解放され、心ゆたかな時間を過ごしてもらうために、
そしてなによりも、
街に落ちているゴミを拾う感心な子ども(おとな)たちに、せめてゴミ箱ぐらいは提供しようじゃないか、
自分のゴミならともかく、拾ったゴミを家まで持ち帰れというのは酷ではないかと考えるからです。
(回収態勢がなかなかうまくいかず課題も多いのですが、森岳は今環境問題を正面から考えています。)

ゴミ箱があろうが無かろうが、平気で(悲しいかな無意識で)路上にゴミを捨てる人もいれば、
盲人の手を引く盲導犬の前に落ちているガラスのかけらを拾ってポケットに入れる小学生もいるのであります。

ゴミ問題を通して今一度「常識」を問い直したいものです。


         松坂昌應(まつさかまさおう) 島原/森岳商店街事務局



前ページへ戻る