読売新聞

2001年8月20日(火)


三日連載  8/19(日) 8/20(月) 8/21(火) 



おじゃまします〜島原市万町商店街〜


人の流れを呼び戻せ!!

ふれあいホール
サンプラザ万町建設に商店街が団結

万町商店街のほぼ中央部にさしかかると、目についたのが、
多目的施設「ふれあいホールサンプラザ万町」。
館内では、水彩画展が開催中だった。

父親の代に続き、時計・宝石・眼鏡の店を経営している山内勲さん(57)。
万町商店街振興組合(33人)の理事長として
今年3月に完成した館建設の旗振り役をしてきた。

山内さんによると、建設の事業主体は同組合。
銀行の支店跡で、銀行が所有していた用地を買い取り、
約2億3千万円をかけての大事業。

事業費のうち補助を受けた分以外は、
商店街の各店舗がそれぞれ毎月1万円ずつ、20年がかりで支払う。


生き残りかけ商店主ら奮闘

噴火災害で空き店舗が目立つほどだった商店街が、
一等地を買収してまで公民館のような施設づくりに取り組んだのは
「このままでは、商店街は死に絶える。
 人の流れを呼び戻さなければ」との共通の思いからだったという。

約1200平方メートルの敷地に鉄筋2階建て
1階に展示ホール、休憩所など
2階にはホール、和室、会議室、シャワー室など。

商店街発展のネックになっている駐車場も、33台分が整備された。

「多目的ホールは個展や様々な展示会に
 二階は茶道やエアロビクスなどのスクールに利用され
 結構な稼働率です」と山内さん。

オープンスペースやトイレの利用者は、
平日で100人ほど、イベントの日となると3〜400人にも。

「市の施設と考えているからでしょうね」と管理人の宮川初恵さん(59)。

服飾を販売している三浦富雄さん(53)は
「商店街が初めて危機感を持って取り組んだ」と振り返る。

一部に反対もあった事業だが、
山内さんは
「事業を通してみんなの考え方も少しずつ変化していますよ」という。

高齢化社会に備えた顧客のデータベースづくりも進み、
一等地に安住した「殿様商売」から脱却しようという努力が始まっている。

山内さんは
「商店街は横に広がったデパートと考えればよいのでは」との主張が
少しずつ受け入れられてきていると感じている。

生き残りをかけた商店主たちの意気込みが聞こえてきた。