島原新聞

市町村合併で提言

2002.8.8.〜8.10.

目先の利害で進路を誤るな

〜なぜ出来ないのか!?半島の一本化〜

前島原商工会議所会頭 森本元成 氏

8/8(一) 8/9(二) 8/10(三)
(三)

交付税と合併特例債

交付税
は、国が必要と認める歳出と、標準的な歳入との差額を、
穴埋めするために、
国から各自治体に配分される。
一般的に人口が少ない地域ほど、住民一人当たりの行政経費がかさむ。
段階補正は、この点に配慮して小規模町村に手厚く配分するための手段だ。

しかし、政府の経済諮問会議(議長・小泉首相)の審議でも
メンバーから
「段階補正が、自治体の効率経営を阻害し、責任意識を乏している」
と批判され、
算出方法を変更することになった。

段階補正による割り増し額は、2002年度以降3年間かけて減らす。
人口10万人以下の市町村で、影響が出る見通し。

従来は、税収が減れば、交付税が増える関係にあった。
しかし、政府は、
交付税総額抑制のため、
交付税の一部を、赤字地方債の発行でまかなう仕組みに変更。
景気が低迷する中、税収と交付税がともに減る構図になっている。
(日本経済新聞より)

合併特例法(2005年3月が期限)では、
合併すれば、
10年間は、合併前の市町村ごとに算出された交付税の総額が交付される。
その後、大幅な削除となる。
つまり、小規模市町村は、
交付税削除で合併へと駆り立てられ、
合併しても、また交付税を削除する形で、リストラを余儀なくされるという構図なのだ。

合併特例債というのがある。
95%まで起債が可能で、元利償還金のうち7割が交付税によって措置される。

しかし、全国的に合併特例債が増発されれば、
国にとっては、地方交付税の負担が大きくなり、
再び財政危機が深刻化する可能性は十分考えられる。

いつまでも、補助金頼みでなく、10年間位を目標に、
財政自立の体制をつくるために、税源委譲や課税自主権を確立するとともに、
財政危機を克服していく方向にもっていくべきである。

繰り返しになるが、地方の時代にあっては、
自治体は自己決定をし。自己責任を取らなければならない

介護保険やまちづくりといった新しい環境政策など
小さな単位の自治体で地方分権が完結できるだろうか。


最後に

合併すればすべてが終わりというわけではない。
合併によって各自治体は行政能力を高めていくことが必要であり、
住民も自分たちの意志によって
力強いまちづくりに挑戦しなければならない。

合併によって節減した予算や特例債は、
住民へのサービスや新しい魅力のあるまちづくりのために活用すれば、
合併して本当に良かったと実感してもらえるのではないか。

目先の利害で進路を誤り、悔いを千載に残すべきではない。

人は流れをつくり出すことはできない。
流れに乗ってカジをとることができるだけだ。
(ドイツ宰相・ビスマルク)


カジを切りそこなった往年のタイタニック号の悲劇は
繰り返してもらいたくない。


目先のことしか考えない人は、
春に植えて秋に実るのを待つことさえせず、
眼前の利に迷って、苗を植えないで
刈り取ることばかりを考えている。
だから貧窮するのだ。(要旨)
二宮翁夜話


含蓄ある言葉ではないか。
自戒を込めて思い直してみたい。

妄言多謝

おわり



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