島原新聞

2002.6.18.〜6/22

島原半島市町村合併に思う

東京 田代則春 氏

6/18(一) 6/19(二) 6/20(三) 6/21(四) 6/22(五)

中央紙は、6月6日付け(朝日新聞)で
交付税も抑制方針−来年度予算前年度並み17兆円」
との見出しで、小泉総理が6日の全国市長会議での挨拶で
述べられたことを報じております。

地方交付税の抑制方針は、年を経るごとに厳しさを増していくでしょう。
今の地方自治体の現状は慘擔たるものであります。

島原半島の市町も例外ではありません。
歳入も歳出も、自治体で賄っているのは20%程度に過ぎません。
(現在の島原半島の各町の場合、
 20%も大きく割り込み
13%程度だとも聞いております)

後の8割については、4割は
地方交付税の交付金補助金
残りは
借入金となっているのが現状です。

国の財政はというと、これもたいへん厳しいものがあります。
平成13年度の一般会計
予算は86兆円、
その内
35%にあたる30兆円は、国債という名の借金で賄われております。

国と地方財政の
借入残高は693兆円にも達しております。
これを
国民一人当たりにしたら幾らになるのか、
読者の皆さん自分で試算してみてください。

   *注(石川試算)693兆円÷1億2千万人=
577万5千円!!!

国が破産状態になるかどうかの瀬戸際です。
このような状況のなかで、
地方交付税や補助金の見直し・減額の趨勢にあることは
まことに見やすい道理でしょう。
小泉内閣の後継内閣になっても、その
姿勢は変わることはないでしょう。

一方、県下
市町村の人口は年々減少しております。
(長崎県全体では昭和35年をピークに平成12年までに24万人もの減)

住民の高齢化は情け容赦なく進んでおります。
(65歳以上の高齢者は、
 昭和35年は、5.8%(20人に一人)であったのが
 平成12年には、20.7%(5人に一人))
一方、出生数は、
昭和25年ピークに平成10年までに約4万人が減少している有様です。

高齢化が進むと、医療・福祉等のサービスは増えざるを得ず、
そうなると
市町村の支出が増加することは防ぎようがありません。

人口の減少は、
働く年齢層の減少を招き、それは市町村の税の減少をもたらします。


私は、
3つの分割合併等を考えている町長や議会の方々に質問したい。

このような3つの分割合併案で、
中央・地方の厳しい財政状況の下で、
あなた方は、自信を持って本当に自分の町を安定させ、
発展させることができるとお考えでしょうか?

そのような方策があるというのであれば、
正々堂々と町民や島原半島の皆様に
青写真を示してください

今、あなた達の町の住民の皆様は、
これといった市町村合併に関する
正確な情報も与えられないまま
「無知」という名の電車に乗せられて、
あなた方に先導され、安定・発展から取り残された
不毛の町(市)へ連れて行かれるのではないのでしょうね。

国の地方交付税・補助金は目減りする一方であり、
少子・高齢化が進み、町の財政も悪化の一途を辿る中で、
島原半島が3つに分割合併された程度で、
現在の島原半島の住民は、
現在も
将来も、安定・発展する町として期待できるのでしょうか?

島原半島1市16町が一つになっても、なお厳しい状況は続くものの、
住民の負担も広く薄いものとなり、官民一体となって事に当たれば、
島原半島全体の安定・発展の可能性もみえてくるのではないでしょうか。

もとより、このような3つの分割合併でも、国・県の財政支援はあるでしょう。
しかし、そのような
目先の利益だけで、
島原半島全体との連帯感・運命共同体としての認識がないまま、
市町村合併を実施しようとしているのではないでしょうね。

島原半島1市16町合わせて僅か16万程度の人口に過ぎず
(平成12年国勢調査による)
島原半島として良い歴史風土を持ち、言葉も習慣もほぼ同一の住民が
一緒になることが何故出来ないのでしょうか?


(三)へ続く


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