島原新聞

2002.6.18.〜6/22

島原半島市町村合併に思う

東京 田代則春 氏

6/18(一) 6/19(二) 6/20(三) 6/21(四) 6/22(五)

ところで話は変わりますが、
島原新聞に
「市町村合併で提言」とのタイトルで
住民や各界各層の方達からの意見が掲載されています。

ところが、
私の知る限り、不思議なことに
「1市16町が一つに合併すべきだ」とする意見ばかりで、
「島原半島が3つないしそれ以上に分割合併されたほうがよい」とか
「それはやむを得ない選択である」といった意見は
一つも見当たりません。

例えば
「細かく分かれた合併など
意味がない

「各市町においては、
地域住民への、より踏み込んだ形で、
 メリット・デメリットの
情報提供と広報啓発をさらに行う必要がある」

「”島原半島市町村合併調査検討委員会”の検討の結果は、5分割案であり、
 〜期待を裏切られた。将来を見据えて大同に。」

1市16町こそベスト〜時代の流れ、強力な政治基盤を〜」

「合併施行の権限が各市町の議会に委譲されていることも、
 本来の合併の本質を歪めているように思える。
 各自治体の主義・主張の入り乱れた
陣取り合戦・パズルゲームの如き
 先見性に欠けた分割案が提示されているが、
 半島合併を決定する最終局面であるがゆえに、
 あらためて
住民側も冷静かつ柔軟に考える良い機会ではないだろうか。
 1市16町の見えない壁が半島全体の振興を侵害していたようなもの
 〜今こそ
島原半島を一つの株式会社としてとらえ、
 地域の命綱である産業面での基本とした
広域圏を形成しておく必要があるのではないか。
 広域合併は、分割合併よりも
国に対しての発言力が強くなり、
 地域そのものの
政治力がアップする利点がある。」

「今回、有明の経済交友会のメンバー提言は、見事である。
 流石、立志伝に名を連ねられるべき人たちだけであって、
 考え方が柔軟で発想が豊かである。
 
半島民は何のための合併かを理解すべきである。」等などのご意見であります。

すべて、ごもっともな内容で傾聴に値する意見ばかりです。

よく
「ギャップ」という言葉が使われます。
これほど
関係町長らと、住民との間に「ギャップ」が大きい問題も少ないと思います。

前記島原新聞の「市町村合併で提言」に寄せられた声が、住民側の意見だとすると、
関係町長らと、住民の意思とは、甚だしく乖離しているということになります。

これは
地方自治のあり方から見ても由々しき問題です。

市町村合併に関する限り、
住民の意思は大幅に無視され、住民不在のまま、合併が処理されようとしている
と言われても仕方がないでしょう。
民主主義の危機であると共に、地方自治の破滅にもつながりかねません。

関係市町長は、虚心坦懐に
住民の意見を聞くべきです。
住民の意見が低レベルである場合には、粘り強く説得活動を続け、
住民がかなり高いレベルから判断できるまで指導する
職責があると考えます。

しかし、今は、
その逆ではないでしょうか。

住民の意思を無視し、あるいは住民の意思レベルが低いことをいいことに、
関係各町・職員らの意思を、住民に押し付け、
しかも、最終的には、住民の判断を隠れ蓑としようとして
いるのでは、ないでしょうか。
そんな疑いさえ持ちたくなる昨今の関係町長たちの動きであります。

有明町が、1市16町の広域合併を視野にいれたうえで、
島原市等との合併に踏み切った(島原新聞6月5日付)事については、高く評価したい。
その前後の経緯についてとやかく言う者もいるようだが、そのようなことは雑音に過ぎない。

有明町経済交友会の皆様の勇気ある意見は、英知ある決断として高く評価したい。

同交友会は
「現在進められようとしている北目3町(有明、国見、瑞穂)の枠組みは、
 住民生活の実態や経済活動の合理性を無視した暴挙」
「間近に迫った超高齢化社会や過疎化などに対応するためには、
 より踏み込んだ形で、行政改革や介護保険等々の問題解決に当たらなければならないに、
 その理念も姿勢もうかがえない。」
「北目3町。とんでもない。合併枠1市16町がベスト」
といった厳しい意見となっている。(島原新聞4月23日付)

誠に正鵠を得た、かつ勇気のある提言であると考えます。

この強硬提言の裏を返せば、
健全な住民は、
町長等の為政者の動きを、
自らの利害打算だけが先行しており、
島原半島全体の経済的利益・福祉等は、ほとんど視野にはなく、
もはや、その言動は信用できない!
ということに、なるのではないでしょうか。

有明町経済交友会のこの意見が、
おそらく島原半島の大方の住民や識者の集約された意見ではないでしょうか。



(五)へ続く


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