島原新聞

2002.6.18.〜6/22

島原半島市町村合併に思う

東京 田代則春 氏

6/18(一) 6/19(二) 6/20(三) 6/21(四) 6/22(五)

今、改めて
島原半島の地図を眺めております。

なんとも小さい。
そこの1市16町が犇めいております。
明治時代の名残が大きいという気がします。

先ほど申しましたように
島原半島全体をあわせて人口は16万程度です。
自動車の飛躍的普及、道路交通網の整備を考えますと、
一つの行政区画として統一されても、
住民の格別の不便はないものと考えられます。

また、
各町の役場を「支所」とすることにより、
本庁と支所をオンラインによってコンピュータを活用すれば、
島原半島内の戸籍謄本、住民登録、住民票、印鑑証明、
出生・死亡・年金等の諸手続き等、
その他
住民に対する行政サービスにとって、
特に支障を生じることがあるとは考え難いところです。

現に私も今新宿区に住み、四谷支所を利用しておりますが、
新宿区役所まで行かなければ足りない用件など一度もありません。

本庁と支所がコンピュータで結ばれている以上、
本庁も支所も同様の役割を果たすことが可能です。

「近い」「遠い」といった「空間」の壁は、
コンピュータをオンラインで活用することにより、完全に克服できます
(私はコンピュータ業務の専門家でもあります)


広域合併に反対する立場としては、
1.役場が遠くなるのではないか
2.合併後の市町の中心部が栄え、周辺部が寂れるのではないか
3.住民の意見が施策に反映されにくくなるのではないか
4.きめ細かいサービスの提供ができにくくなるのではないか

といったことが言われている模様です。

1.については、
役場が遠くなっても、
行政サービスのほとんどすべては支所で事足りるでしょうから
心配はご無用だと思います。

2.については、
それは人口の移動を伴う場合のことであって、
支所での、本庁のコンピュータと結ばれた活用がほとんどでありましょうから、
それは現今の
高度情報化社会ではほとんどありえないことだと思います。

3.については、
何故、島原半島といった小さい区域が一体となったからといって、
住民の意見が施策に反映されがたくなるのか、理解に苦しむところです。
むしろ、
変な地縁・血縁に縛られずに、自由・闊達に意見を述べることができれば、
逆に、住民の意見が施策に反映されやすくなるのではないでしょうか。

4.については、
逆ではないでしょうか。
島原半島における介護保険の例でもわかるように、
広域化しないと、
財政的に、かえってきめ細かいサービスが受けられなくなる
方が大きいでしょう。

というのが、私の考え方です。


介護保険については、
すでに1市16町で、市町の垣根を取り外し、
一つの「広域圏」を形成し、
効率的に、かつ、支障なく、運営されていると聞いています。
1市16町の合併も、その延長線上で考えることは、どうしてできないのでしょうか。

その他にも、島原半島1市16町の合併には、障害があるとしても、
大局的にみれば、それは関係者が考えているほど重要な問題ではないのではないでしょうか。

災害は天災です。天災は不可抗力です。
しかし、
合併の問題は、為政者と住民が自らの意思で決めることです。
つまり
舵の切りそこないは
「人災」です。

市町村合併は、
住民と為政者が、
自己責任で決することです。

しょせん、その住民と為政者のレベルでしか、事は運ばないのかもしれません。
身から出た錆と言ってしまえばそれまでです。

しかし、そこには
前提があります。
住民一人一人が
プラス、マイナス情報の全てを与えられ、
それらを咀嚼した上で、住民の
一人一人が判断し、
その集積としての
住民の意思が尊重され、反映されるということです。

でも、私の知る限り、
そのような
情報を開示して住民の意思を真摯に聞くといった町は
一つもないようです。



(四)へ続く


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